「ナンバーワンになりたい」
という気持ちで

Q. 川本製作所は、どのような文化
が受け継がれた会社ですか?

髙津
髙津
髙津

当社は大正8年に手押しポンプの製造からスタートした会社です。昭和25年に家庭用ポンプを作り、その後建築市場に参入して少しずつ基盤を作ってきました。私が入社した頃は大きな会社ではなかったのですが、とにかく「業界ナンバーワンになりたい」という気持ちで先輩たちと頑張ってきました。当社はエリートの会社ではなく、本当の“ポンプ屋”からスタートした会社です。社是に「信用第一」という言葉があるように、とにかく信用が大事なんだと。その考え方が脈々と受け継がれてきました。 「自分の足でモノを売りなさい」と教わり、ポンプの修理も自分たちで行いました。汚水ポンプを取り換える時、自分で汚水の中に入っていって修理をしたこともありますよ。ポンプというのは人目につかない場所にあるし、派手な仕事ではない。だけど、世の中に欠かせない製品を作っている。そういう意識を、多くの社員が持っていると思います。

川本
川本
川本

社長が言われたように、当社の仕事は泥臭い側面のある仕事です。その中で、熱い気持ちを持った人たちが、歴史を支えてきたと思います。私が入社した時に感じたのは、社員の人柄の良さとアットホームさです。若い社員が仕事で失敗しても周囲の先輩たちが助けるという、面倒見の良い文化があります。また、現在はコロナ禍で中断していますが、社員旅行を続けていたり、全国の営業担当者を本社や工場に集めて年に一度「営業研修会」を行ったり、社員の交流も大切にしています。

髙津
髙津
髙津

営業研修会は、全国の営業担当者が集まって製品のことを勉強する場です。また、営業担当者が会社に対して直接要望を伝える場でもあります。「こういう製品を作ってほしい」という意見を本社に伝えれば、その声が製品化につながることもあります。

ものづくりを通して
社会に貢献する

Q. ポンプという製品を扱う意義や、メーカーの
仕事のやりがいはどのようなものですか?

髙津
髙津
髙津

人が生活する上で真っ先に必要になるのは、やはり水だと思います。たとえば災害や何かのトラブルが生じた際、飲み水はミネラルウォーターで運んでくることができますが、顔を洗ったりお風呂に入ったりするためにミネラルウォーターを使うことはまずありません。そうした「普通の水」を使う時には、ポンプが必要になります。災害時に電気が使えなくても、手押しポンプがあれば井戸水を使うことができる。そうした製品の重要性を考えると、当社の仕事は社会に必要なものだと言えます。

川本
髙津
川本

私たちは製造業なので、自分たちで作りたいものを作り、自分たちの力で製品の付加価値を高めることができます。そこはメーカーならではのやりがいです。世の中にはいろんな仕事がありますが、日本が成長する原動力になったのは、やはりものづくりです。若い人たちにものづくりの大事さを伝えていきたいですし、その考えに共感していただける人と一緒に働きたいと思います。

髙津
髙津
髙津

当社は部品を作るメーカーではなく、ポンプという完成品を売るメーカーです。製販一体となって作った製品に対して自信を持って「良いものだから買ってください」と言うことができます。また、お客様から「こういう製品を作ってほしい」という声を直接聞き、製品の開発や特注などの形で応えることができる。そういうことを営業担当者の裁量でできるのは、大きなやりがいだと感じます。

「他社にはできないこと」
を実現していく

Q. 今後の川本製作所が力を入れていくのは
どのようなことですか?

川本
川本
川本

日本の人口が減少し、今後は建築市場が縮小していきます。その中でめざすべき方向性の一つが、海外展開です。当社は中国とタイに工場があり、海外で製品を作る体制を構築しています。そうして少しずつ体制を整えながら、今後は海外市場での販売にも力を入れていきます。

髙津
髙津
髙津

当社には、「F.V.I.(Frontier spirit Vitality Innovation)」という考え方があります。この言葉を考えたのは前会長の川本修三です。オイルショック前の時代、会社を大きくしていくために「フロンティア」や「バイタリティ」という言葉を掲げたのですが、今の変革の時代に再び重要な意味を持っていると感じます。この「F.V.I.」という言葉をどう理解するかは、社員個人に委ねる。それが当社の考え方です。たとえば「イノベーション」と言っても、その対象は人によって違うし、改革の方法も自分で考えるべきものです。自分なりの理解をして、行動に活かしてほしいと思っています。

川本
川本
川本

当社の前会長は、私の祖父です。幼い頃から一緒にいて感じていたのは、「良いもの」が好きな人だったということです。たとえばビデオデッキを買うにしても、メーカーや品質に強いこだわりを持って選んでいた思い出があります。仕事においても「もっと良いものを」という思いを常に持っていて、それが「F.V.I.」という言葉につながったのだと思います。
「業界ナンバーワンメーカー」という目標は、当然めざすべきことです。ただ、分野によってはすでに当社がトップシェアを取っている分野もあります。トップシェアを取れるようになってくると、背中を追うべき相手がいなくなってくる。それが次の課題になります。「他社にはできないこと」を実現していくために、何をするか。「人」による差別化が何よりも重要で、今後は人財育成に力を注ぐべきだと私は考えています。

「自分だったらどうするのか」
を考える力

Q. そうした新しい時代に必要な人材とは、
どのような人ですか?
また、どういう人を育てていきたいですか?

髙津
髙津
髙津

当社の仕事は、「現場力」が求められる仕事です。お客様がお困りの時に何とかして解決方法を見つける。そういう力を持った人を育てていきたいと思います。当社の仕事は先輩から教わるだけでなく、お客様に育てていただく面があります。真面目な人はお客様にかわいがってもらえるし、その中で自信を持てば、必ず成長します。若い時にいろんな経験をしている人や、何かしら苦労を経験してきた人、他責ではなく自分の頭で考え努力してきた人に入社してほしいと思います。

川本
川本
川本

今後、一緒にこの会社を盛り上げていくために、向上心のある人に入社していただきたいと思います。社長がよく言われるのは、「一人ひとりが経営者の考えを持ってほしい」ということです。「F.V.I.」にも通じる話ですが、会社が直面する大きな課題に対して「自分だったらどうするのか」を考える力が必要です。今後10~20年は特に、人財育成に力を入れ、プラスアルファのものを生み出せる人を育てていきたいと思います。「川本ならこういうことができる」というものを作り、私と一緒に将来の川本を盛り上げていってほしいと思います。

髙津
髙津
髙津

メーカーですから、やはり技術力は必要です。良い人に入っていただき、良い技術者を育てていきたいと思います。当社は、研究開発については自由度の高い会社だと思います。「いろんなことを研究してみたい」という考え方の人に入社していただきたいと思います。また、営業部門では、目立つ成果を上げられる人だけでなく、目立たない場所で人を支える人も必要です。いろんなタイプの人がいてこそ、会社は成り立ちます。
私たちが重視するのは、「勉強ができる人」ではなく、「仕事ができる人」です。その為常に実力主義で人を見ています。頑張った人には頑張っただけの評価をするのが、当社の考え方です。それをぜひ知っていただけたらと思います。

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