ノウハウの蓄積と
チームワークが、
川本ならではの
「強さ」を生む。

PROJECT MEMBER

  • 石田 健

    石田 健

    開発営業
    2004年入社

  • 松本 翼

    松本 翼

    ソリューション開発
    2010年入社

  • 八重野 修

    八重野 修

    営業
    2012年入社

下水処理施設開拓に向けた営業活動

下水処理施設開拓に
向けた営業活動

川本製作所は建築市場向けの汎用ポンプの販売を主力とするメーカーだが、近年は幅広い市場に目を向け、事業を展開している。上下水道施設や工場向けのポンプ、井戸水をろ過するための水処理機器を取り扱うほか、各種装置に組み込まれるポンプを装置メーカーに販売するケースもある。そうした新たな市場開拓の一例としてご紹介したいのが、上下水道施設向けの納入事例だ。「ジャンボスイート」というユニットをベースにした特注製品を自治体の下水処理施設に納入し、給水システムの改修に貢献した。
このプロジェクトが始まるきっかけを作ったのが、開発課の石田健である。開発課とは、営業活動における最初期段階で受注につなげるための「環境づくり」を行う部署。石田は製品のPRなどを地道に続ける中で自治体の担当者と関係を築き、給水システムの改修に関する要望を聞いた。本プロジェクトにおいて、川本製作所の直接の販売先となるのは設備業者だが、ポンプなどの設備仕様は事業の発注者である自治体が決定する。そのため、通常の営業活動(設備業者にアプローチする活動)とは別に、自治体に対して事前に情報提供を行い、自社製品の特徴を知ってもらう動きが重要になるのだ。
そうした役割を担うのが開発課であり、中国エリア5県を担当する石田は、これまで自治体や民間の商業施設、ゼネコン、設計事務所などへの技術提案や情報提供など、「モノを売らない営業活動」に取り組んできた。今回のプロジェクトでは、自治体の担当者が魅力を感じるユニット提案を行い、営業活動を優位に進めることに成功した。

前例のない製品提案が決め手に

前例のない製品提案が
決め手に

「上流営業で特徴のある提案をしてくれた石田さんのおかげで、その後の動きをスムーズに進めることができました」
と話すのが、ソリューション開発課の松本翼だ。支店に勤務する技術担当者の中でも、松本たちソリューション開発課のメンバーは、主に市場調査や新市場の開拓を担当している。今回の案件では、入札結果が出る前(この案件を担当する設備業者が決定する前)から、必要な準備やそのための情報収集を行った。
本プロジェクトの対象となった製品は、下水処理施設の受水槽で使われるポンプだ。受水槽の中で使われる水中ポンプと、地上で使われる圧力タンクの組み合わせが基本となるが、今回のユニットでは今までにない試みとして、ポンプとタンクの間に「インバータ制御盤」を組み合わせて提案した。インバータ制御盤を組み合わせることによって、ポンプの省エネルギー性能を高めることができ、自治体にとって大きなメリットのある提案となる。
このユニット提案を支えたのが、制御盤専門メーカーであるグループ会社「川本電産」のノウハウだ。プロジェクトチームは川本の強みであるグループ内のパイプを活かし、インバータ制御を取り入れたユニットを提案。松本を中心としたきめ細かい技術対応が、受注の成否を決めるポイントとなった。この構成のユニットを採用するのは今回の自治体にとって初めてのことであり、丁寧な情報提供が必要となる。配管図面や設置フロー図面などの作成、ポンプの塗装仕様など詳細にわたる資料作成も松本が行った。

受注に導いた営業マンの奮闘

受注に導いた
営業マンの奮闘

このプロジェクトの最終目的は下水処理施設に製品を納入することだが、ポンプメーカーを選定するのは、この案件を落札した設備業者A社だ。A社に対する営業活動を担当したのが、営業担当の八重野修である。この時点ですでに川本製作所に優位な状況ではあったが、まだ実際に受注できるかどうかは不確定な状態。また、A社との取り引きは初めてで、その面での不安もあった。
この時、八重野の営業活動に役立ったのが、石田や松本が準備した図面などの詳細資料である。A社が必要とする情報提供をスピーディーに行い、信頼関係を構築。何度も訪問を重ねる中で、今回提案している製品の特徴や強みを訴求したほか、緊急メンテナンスが必要な際などの対応力などもアピールし、メーカーとしての総合力を印象づけた。地道なコミュニケーションの積み重ねが、受注という成果を引き寄せたのである。
「お客様へのアプローチの結果、『川本さんにお願いします』と言っていただけた時が、営業として一番うれしい場面です。もし受注できなかったら、石田さんや松本さんの頑張りを無駄にしてしまうことになるので、何としても結果を出したいと思っていました」
受注決定は、今回のプロジェクトにおけるゴール地点である。しかし同時にそれは、無事に納品するまでの長い道のりが始まるスタート地点でもあると、八重野は言う。特に今回のユニット提案では技術的に難しい課題をクリアしながら、自治体の要望に応えていく必要がある。受注決定後は、八重野がすべての業務の窓口となり、工場への発注や納入までのスケジュール管理、顧客との打ち合わせ、納入後の試運転など、一連の業務を進めた。

柔軟な対応力が、川本の強み

柔軟な対応力が、
川本の強み

受注決定後、営業窓口である八重野をサポートし、仕様通りの製品を製作するための対応をしたのが、ソリューション開発課の松本である。工場特注部との打ち合わせだけでなく、自治体の検査実施に向けて品質保証部と調整を重ねるなど、多様な役割を担った。松本は言う。
「当社が今まで踏み込んで来なかったことに挑戦していくためには、『何ができ、何ができないか。そしてどうすればできるようになるか』を把握・検討していくことが重要です。今回の提案が採用に至ったのは、こうした専門的なノウハウをプラスアルファの価値として評価していただけたからです。ゼロからアプローチの仕方を考え、納入につなげることがこの仕事のやりがいだと感じます。」
部署の垣根を超えた連携体制を活かして、顧客ニーズに対応できたこと。それが、今回のプロジェクトの成功要因だと、石田は振り返る。
「今回のような特殊な案件は、みんなで協力しないと実現が難しい面があります。お客様の意向を聞いて何かをご提案する際、松本や八重野が近くにいれば、『こういう提案はどうかな?』と気軽に相談できます。また、工場やグループ会社に対しても、『こんな製品がほしい』と相談しやすい雰囲気があります。そうしてきめ細かくお客様の要望に対応できることが、川本の強みだと感じます」
3人の話から感じられるのは、部署間のつながりやコミュニケーションの取りやすさなど、独自の風土がメーカーとしての「強さ」につながっているということだ。上下水道施設や工場向けの市場などを開拓していくためには、今後ますます「新しいことに挑む力」が重要になる。大きな会社ではないからこそお互いが連携し、一人の力ではできないことを実現することができる。強固なチームワークが、川本製作所を支えている。